私は鶴。
数百年前に人間に恩を受け、神様に恩を返す力と永遠を命を手に入れた。
その力はとても強く受けた恩は必ず返さなければならない呪いと化し、私自身を苦しめることになった。
時を経て、私は段々と自宅に引きこもる様になる。
アイドルオーディション番組で知った袖なしの君に惚れすっかりファンになって推すという恩返し活動をするようになった。
今日はトキナシが歌の番組に出る日。
袖なしの君のファンになってから歌番組の出演をリアタイするのは初めてじゃ。
出演時刻は午後8時頃。
それまでに先日雪山でコラボした笠地蔵との動画を編集するかの。
雪山コラボ、寒さでカメラが止まってて編集大変だったなー
耐寒カメラ50万円するけど、買おう。必要経費だし。
それにしても、笠地蔵くんやっぱりすごかった。
笠一つで半そで短パンで過ごせる神通力があるんですって。
これでムキムキだったらいいんだけどガリヒョロだからなぁ。
動画回ること間違いなしだわ。
時間はあっという間に午後6時半。
歌番組が始まった。
到着した出前を食べ、ためこんだコップを洗い午後8時を迎えた。
知らないグループや懐かしいグループ達を見て、まだかな、まだかなと期待に胸を躍らせる。
午後8時50分、ようやく次はトキナシの登場!というテロップが出てきた。
CMをはさみやっと登場。
8時頃って一体どのくらい待たせるのじゃ。
オーディション番組のダイジェストから始まってトキナシ達登場!
袖なしの君可愛い💗
と思っているとチャイムが突然なった。
だれじゃ。
同時にドアが開く。しまった、出前の時にカギ閉めるの忘れていた。
「よぉ、鶴!相変わらず不用心だな」
「桃太郎貴様…!なんというタイミングで来るんじゃ…とにかく邪魔するな。静かにしておれぇ」
「ん?なんだ?ふはは、お前…珍しくテレビ見てると思ったらトキナシ好きなの?」
「うるさい黙れ!とにかく数分静かにするのじゃ!」
「ははは、いえーい」
なんと桃太郎のやつテレビの前に立ちおしりを見せて踊りやがった。
「本当にやめて!!!最悪!!!ふざけるな!!!!」
叩いたり蹴りを入れたが全く微動だにしない。
数百年、武術をやっている奴に鶴がかなうはずもなかった。
「ほらうるさいな。見せてやるよ」
「一番大事な最初の登場シーンを見逃したのじゃ…貴様はなんてことを…」
涙で画面が見えなかった。
「鍵開けとくのがいけないんだろ。俺はなんも悪いことしてないからな」
そそくさと桃太郎は帰っていった。
袖なしの君の歌割は見れたけど、最初の登場シーンを見逃した。
悲いので手羽配信をずっと見ていた。
リアタイ楽しみにしていたのにあやつにぶち壊された。
桃太郎…許すまじ…
真剣にオートロックの導入を検討することにした。